アマビエール

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厄介なウイルスが、世界に蔓延してしまった。それは人を媒介して増える。極力外出を避けてきたが、いい加減嫌になった私は衝動的に飲食店に飛び込んだ。
(なんか変な店に来ちゃったな)
その店では、みんなマスクの代わりにお面をしていた。
周りを見渡すと、不思議な絵に目が止まった。髪の長い、魚の足をした生き物の絵だ。
「アマビエです」
目線を上げると驚いた。絵の中にいたそのモノが話しかけてきたのだ。
「私の絵を飾ると災厄から逃れられます。一枚いかが?」
「いや、結構です」
あまりの怪しさに断ると、そうですかとソレはメニュー表を差し出した。
「では当店おすすめ、アマビエールはいかがです?こちらは験担ぎですが、元気も出ますよ」
「ならそれを一杯」
アマビエールは、金色に輝いていて、まるでビールだ。
「皆様が、健康でいられますように」
アマビエの言葉を噛み締めながら、二人で乾杯をした。
その他
公開:20/03/13 23:40
アマビエ

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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