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学問好きなじいさまは、毎日、図書館に通っていた。かといって、読書するわけでも調べ物をするわけでもなかった。ばあさまは怪訝に思い尋ねると「芝刈りに行っているんだよ」と答えるだけ。
ある日、出かけたままじいさまは帰ってこなくなり、ばあさまは心配になって図書館へ行くことにした。
 中へ入ると書物という書物が真っ二つに裁断されていた。その切り口から芽が出て、茎が伸び若い頃のじいさまにそっくりな青年たちになった。
「僕たちは、知の芽生え。じいさまの知を受け継ぎました」
「ヒエーッ!じいさまあーっ」
ばあさまは叫びながら図書館の奥へ奥へと逃げていった。
「じいさまはあちらです」
青年たちが指差す方へ首を向けると、そこには大きな集積回路に組み込まれたじいさまの姿があった。老いていく自分の知能と若さを永遠に残すべく自らを機械の一部にし、図書館は一つの大きなスーパーコンビューターになっていた。
その他
公開:20/03/11 23:36
schoo 図書館へ芝刈りに

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