図書館へ芝刈りに

4
6

むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがおった。ある日、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行ったそうな。

お爺さんは途中で辺りを見渡すと、こっそり図書館へと向かった。

「わしらは子宝に恵まれんかった。しかし、わしも婆さんも子供は好きじゃ。何とかならんもんか…」

お爺さんが図書館で借りたのは、養子縁組に関する本だった。

「吾作どんのところは、子沢山で生活が大変と聞く。どうじゃろう、一人くらい…ウチに…」

帰り道、お爺さんは吾作どんの家の前を通りかかった。屋根が傾いた狭い家から、子供達の声が聞こえる。賑やかで、楽しげで、仲睦まじい…。

「わしは間違っておった。なんと浅はかなことを…」

家に帰ると、お婆さんが大きな桃を抱えて戻ってきた。

「こんな大きな桃、二人では食べきれんのう…。そうじゃ、吾作どんにお裾分けしよう」

柔和な表情でお爺さんが桃を切ると、中から…。
ファンタジー
公開:20/03/11 21:40
スクー 図書館へ芝刈りに

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

株式会社ベルモニー Presents ショートショートコンテスト 入選 「とんでかえる」

隕石家族×ショートショートガーデンコラボ 小惑星賞 「詠み人家族」

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容