生死バンク

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車に轢かれ、一時は生死の境をさ迷った私はトラウマで車が怖くて仕方がない。
しかし今の世の中、車がないと生活が出来ないのも確かだ。それが私のような田舎暮らしなら尚更である。
何とか克服したい…だから私は藁をも掴む思いで生死バンクに相談する事にした。
「はい。高木様の生死体験、こちらで預からせて頂きます」
受付の女性にそう言われ、私はぽかんとした。えっ?それだけ?
釈然としない私に女性は車の写真を見せてきた。
いつもならそれだけで過呼吸になり、身が竦んでしまうのだが今は何ともない…
試しに外に停めてある車にも乗ってみた。吐き気や眩暈と言った拒否反応が出ない…
「当バンクではお客様からの生死体験を預かり、有効活用させてもらっております。高木様の車に対する生死のトラウマ、こちらはあおり運転で人を傷つけたにもかかわらず反省の色が見えない者に貸しつける予定となっております」
その一言に肩の荷も下りた。
SF
公開:20/03/11 19:17

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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