時計のつぶやき

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ざくざくと地面を掘り起こす。
土の中から様々なものが出てくる。鞄、食器、携帯電話、そして、死体。
私は被災地で復興の為の手伝いをしている。民家のあった場所を掘り返すとこういう事が偶にある。
私は静かに手を合わせると急ぎ消防に連絡した。この場所での復興は暫く滞るだろう。
私は一息つくと先程掘り起こした時計をちらりと見た。
こいつもまた死んでしまったものの一つだ。先程と同じように手を合わせた。
こいつは資料として展示されるらしい。この悲劇があった時間に壊れて止まってしまった時計。
もう動く事のないこの時計は、それでもまだ人々の目に触れるという仕事に就かなければならない。
そう思うと胸が苦しくなる。不安になる。
私達は再び歩き出す事が出来るだろうか…と。
カチッ!と音が鳴り、時計の針が一つ進んだ。この時計は前に進もうとしている。
ああ、そうだな。その時計の呟きを受け、私も前に進む覚悟を決めた。
公開:20/03/11 18:44

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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