おまもり

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彼女のバックにはいつもごついラジオが入っている。
彼女がラジオ好きなのは知っている。でも女子大生が持つには大きすぎないか?小さくて可愛い物もあるだろう?
彼女は「これがいいの」と首を振る。よく見るとラジオには細かい傷も多数入っていた。思い出の品だろうか?
「思い出と言えば思い出だけど…強いて言うならお守りかな?」
ラジオがお守り?おかしな事を言う。
「このラジオね、25年前の物なの。両親の思い出の品で、私のお守り」
ますます意味が分からない。両親が大切にするならまだしも、彼女が大切にする理由が分からない。
「25年前、何があったか知らない?」
そう聞かれても分からない。私が産まれてくる前の話だ。
「1月17日。阪神淡路大震災」
ハッとした。そして理解もした。
「両親はこのラジオから流れる音楽で元気付けられた。災害っていつ起こるか分からないからね」
それでお守りか。
私も買っておくとしよう。
公開:20/03/11 18:29

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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