昔の大名アルパカとイト

昔、昔、ある所にアルパカと言う名の大名が城に住んでいた。
この大名、大層、気分屋で、気に入らない者を見かけると相手に向かって唾を吐くと言う愚行を繰り返していた。
その為、家臣は、ほとほと困り果てていた。
「誰か、上様のあの愚行を止められるものはいないのか。お主はどうだ」
「私は嫌で御座いますよ。上様に嫌われていますから。それに上様の唾はかなり臭いのです。近くで飼っていたスカンクが檻から逃げ出すほどですから」
「噂には聞いていたが、それほどか」
「それほどで御座います」
「うむ、どうしたものかな。このままでは儂は過労で倒れそうじゃ。誰か妙案はないかの」
「家老、私めに妙案が」
「なんと、そちに妙案とな。聞かせてみよ」
「ははっ、私の下働きにイトと申すおなごが居ります。その子にやらせてみてはどうかと」
「大丈夫なのか」
「ご安心召され。最初からその子の鼻は曲がっております」