納税と返礼品

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いよいよふるさと納税制度が始まる。私は納税先を既に決めていた。地球だ。

バール星に住む私は、当然のことながらバール星人だ。しかし、私には地球に住む人類の血が流れている。

人類が宇宙進出を始めた頃、何組かの異星人同士の夫婦が誕生した。その中の一組が私の祖父母だ。

私はバール星人と人類のクオーターとして生まれ、以前から地球に興味を持っていた。青い空と海、緑の大地……灰色のこの星とはまるで異なる様子を文献で読み、思いを馳せてきた。しかし地球は遠く、さらに近年、他の星との抗争が激化しほぼ鎖星状態となっていた。

そんな折のこの制度。行くことが叶わないならせめて……。私は人類の血を引く証明である五本指でパソコンを操り、納税を終えた。

三ヶ月後、地球からの返礼品が届いた。
「遠い宇宙の同胞に感謝致します」
添えられた手紙と箱の中身を見て、私は何となく意味を理解した。

返礼品は、光線銃だった。
SF
公開:20/03/11 13:40
スクー たくましいふるさと納税

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
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