昔の旋盤工アルバイト

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夏休みには実家の田舎に帰省し、バイトを探したら旋盤工の求人があった。
早速採用され勤務となったが、内容は編み機の部品を旋盤で削る仕事であった。
これは家庭用編機で全ての操作はレバー一つで出来、パタントレーサーを使いデザインも好きな絵を編み込みが出来、当時婦人雑誌でも特集が組まれる程の画期的商品のようだった。
朝8時から夕5時勤務であったが、コンクリート土間での立ち続けの作業は辛かった。
工作機には常に潤滑用の油が流されており、手につくとベタベタするので家から軍手を持ってきて作業をしていたら、班長に見つかり「アホッ、何と危ない事をするんだ! 手袋が旋盤機に巻き込まれたらお前の指はちぎれるぞ」とこっぴどく叱られた。
慣れてくると仲間の工員さんも仲良くしてくれ、ある時「どうしてあんたは何時も定時退社するの? 残業をすればもっとお金が入るのに!」と忠告してくれた言葉はどうしても忘れる事は出来ない。
青春
公開:20/03/11 12:02
更新:20/04/08 10:00

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