カラフル

　僕はどうやら勘違いをしていたようだ。僕は自分のことを弱くてズルい人間だと思っていたけれど、本当は、ただ真面目なだけみたい。そんなことを思ったのは、夜、しっかりトイレに行ってから眠る自分に気が付いたからだ。目覚まし時計も、家を出るずいぶん前に設定したし、枕もベッドの中央に置き直した。僕は自分を観察している、ふと、そう思った。しかし、そう思うと、僕は何も発見できなくなった。諦めて、眠った。
　翌朝、目覚ましは鳴っていたはずなのに、たいへんな寝坊をしていた。おろろ、そんな言葉が口から出た。おろろろろろ。僕はスマートフォンの電源を切り、布団に潜った。誰からの電話も出る気にならなかった。
　僕は、自分のことを完璧主義者かもしれない、と思った。その発見が嬉しくて、思わず笑顔になった。