埋められない

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またやってしまった。
目の前に積み重なるコンビニ弁当、
カップ麺、色とりどりの安価なスイーツ。
荒々しくラップを剥がし、勢いよく口に
唐揚げを運ぶ。嚥下運動が追い付かず、
口の中がどんどん一杯になる。
焼きそばに手を延ばしながら、沸かした
お湯をカップ麺の中へ。
ある意味の食物連鎖か、いや違う。
単なるコンシューミングだろう。

いつからだろう。
空になったプラスチックの容器を眺めながら、ぼんやりと思う。
私の中で何かのバランスが崩れつつある。
長年緻密に積み上げたものが、ほんの少しずつずれてきたのか。
はやくなおさないと、
はやくげんきにならないと。
私に何を足せばいいの
何がいけないの
何を食べても、いくら食べても、
足りない、
埋められない。

ここから助けて
私はぽつりつぶやく。
誰にも聞こえない暗い場所から、私は
ずっと求めている、
誰かの手を

その手に触れることを。
その他
公開:20/03/09 21:26
更新:20/03/09 21:34

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