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もうすぐ入社から1年経つ俺の後輩。
こいつと来たら未だにガチガチで毎日緊張しながら仕事をしている。
俺が教えた事は素直に聞き入れ、失敗から多くを学ぶ。成功を共に喜ぶ姿は上司や取引相手の信頼も厚い。
「もう少し肩の力を抜け」
何度もそう言い聞かせるが堅い態度だけはどうにもならなかった。

仕事終わり、俺は後輩をマッサージ店に連れてきてやった。日頃の疲れをお互いほぐそうじゃないか。
飲みの席でもなく、リラックスした状態で受けるマッサージに後輩の顔も徐々に蕩けてきた。
ここだな。
「お前を本社勤務に推薦しておいた」
後輩が驚いた顔で俺を見つめる。何をそんなに驚いている。お前にはもうそれが可能な実力がある。
「僕なんてまだまだです!本社には先輩が行くべきです!」
「馬鹿野郎!お前、今年結婚するんだろ!俺より出世しないと俺の妹を任せられないだろうが!」
これが不器用な俺からの、精一杯の言祝ぎだ。
公開:20/03/09 19:16
言祝ぎ(ことほぎ)

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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