資産家殺人事件

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「おや、あなたも語学がご専門ですか?」

話によれば、彼はアラビア語の専門家らしい。
僕はラテン語が専門だ。同業者が10人とは珍しい。

ここは人里離れた山奥。ある資産家の別荘に呼び出された。
「ご相談したいことがあります」
手紙にはこうあった。

外はひどい嵐だ。帰れるのだろうか。

「お集まりになったようですね」
ワイングラス片手に、今日の主役が現れた。
「乾杯!」

突然、部屋が真っ暗になった。
うめき声が聞こえ、ガラスが割れる音がする。
「誰か、電気をつけて!」

やっと明るくなった。
資産家が、頭から血を流して倒れている。息はない。

「早く連絡しないと」
携帯電話を取り出したが、圏外だった。

床に手紙が落ちている。

「脅迫状」

タイトルは日本語だった。
あとは全部、外国語で書かれている。

10人が顔を見合わせた。
「われわれの出番だな」

事件は、まだ始まったばかりだ。
ミステリー・推理
公開:20/03/07 21:01
更新:20/03/07 21:16
スクー 横文字大好き秘境

ろっさ( 大阪府 )

短い物書き。
皆さんの「面白かったよ!」が何よりも励みになります。誰かの心に届く作品を書いていきたいです。

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