橋の下の犯罪者

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この近辺で奇妙な犯罪が頻発していた。スーパーからの買物帰りの主婦が連続して襲われ、しかも金銭ではなくもっぱら買い物袋の中身が狙われている。
犯行は瞬間的で、目撃者がいないため、捜査は難航していた。そのため、捜査本部に腕利きのプロファイラーが招聘された。
犯行地点を示した地図を見て、プロファイラーは分析した。
連続犯は土地勘があり、自分が安全だと思う範囲内で行動する傾向にある。その範囲は川や道路で隔てられるものだが、この犯人は川沿いがお気に入りのようだ。犯行地点は川の両側に集中している。
プロファイラーは断を下した。
「犯人は橋の下よ!」
さっそく捜査員が橋の下にいる浮浪者を捕まえに走った。
ホームレスが職務質問される一方で、実は川の奥深くで、主婦から奪ったキュウリをかじっている河童が生息していることに、まだ誰も気が付いていない。
ミステリー・推理
公開:20/03/07 09:02

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