パパの役割

　息子にテイクアウトのピザの空箱をあげた。
　彼はこれを使ってどうやって遊ぼうかと考えを巡らせる。やがて、箱の中にビー玉を入れて転がし始めた。和紙職人のように箱を左右交互に傾けて、転がるビー玉の軌跡を鑑賞する遊びのようだ。だが、じっと見ていてもそこから何かが進展する様子はない。
　息子が飽きてきた頃合いを見て、私は割り箸とセロテープを持ち出し、箱の中に迷路風の壁をこしらえてやった。壁の数を増やすたびにビー玉の軌跡は複雑さを増していく。パチンコの台を水平にしたような、何かのゲーム盤に見えてくる。
「どこかにゴールを作ろうか。どこがいい？」
　息子が指差すあたりに、カッターナイフでビー玉大の孔を空けてみる。そこに転がり込めば、玉はスポッと箱の下に落ちることだろう。見事クリアしたらハイタッチする。これはなかなか愉快だ。
　案外とテレビゲームより、こういう遊びのほうが子どもは夢中になるものである。