ラッキー病

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女性アナウンサーがテレビカメラに向かって話しはじめる。
「今回お話を聞くのは、病的なまでにラッキーな体質を持っているという男性です。高崎さん、よろしくお願いします」
女性は目の前に座る男に軽く会釈する。
「お願いします」
「まずは高崎さんの状況について説明していただけますか?」
「わかりました。ぼくは生まれてから今日まで、なんの努力もせずに成功してきました。勉強、部活、就活、全てにおいて。ただそれは、ぼくの実力とは関係ないんです。たとえば、センター試験。ぼくは全く勉強せず、すべて勘で答えました。結果はパーフェクト。笑っちゃいますよね」
「いやいや、そんな成功ばかりだと人生楽しいでしょう」
「自分の実力を試す機会がないというのは空虚ですけどね」
そう言うと男は懐から拳銃を取り出し、こめかみに当てて引金を引いた。
しかし、弾は発射されなかった。
「故障です」
男の表情は心底悲しそうだった。
その他
公開:20/03/08 16:59

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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