昔の男子社員独身寮

会社の独身寮は、５階建ての鉄筋で部屋は全室個室で学生時代の相部屋とは違った。
但し風呂トイレは共有で、室内はベッドと机のみだったが当時としては快適だった。
食事は朝・晩付きで1階の共通フロアーの食堂で食べる。

風呂は学生時代は順繰り当番で掃除、風呂点火等は寮生の仕事であったが、社員独身寮はさすがボイラー焚きおじさんが皆やってくれた。
洗濯機は10台近く設置されたが、殆どが休日に集中するので順番待ちが常であった。

電話は黒電話が一台あり、鳴るとたまたま近くにいた寮生が出て、指名者をマイクで全館に流し呼び出すが、この時相手が女性の時は「◯◯君、おッ電話です」と「おッ」を強調するのが習わしであった。
この呼出を耳にした寮生は奴もやっと彼女ができたか、頻繁に電話があれば結婚近しと勝手に想像する。

ある時母親からの電話を「“おッ”電話です」と呼び出した者がいて、誤解を招ねき暫く物議を醸した。