Stray Cat Strut

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「今日は口煩い女房もいないから遊び来いよ」
と誘われ友人宅に行くと、部屋の隅々に団子が置いてあった。
「ホウ酸団子…もうゴキが…」
「いや、これはカムフラージュした猫の餌だ」
見ると、家具の陰から親指大の猫達が出てきて団子を食べ始めた。
「居場所を失い、心身共に"肩身が狭くなった”野良を内緒で飼ってるのさ」
「見つけてきたの?」
「いや、あそこから入ってきたのさ」

数日後、再び友人宅に行くと奥さんから彼が失踪したと知らされた。
安月給の癖に気取り屋な亭主に対し堪忍袋の緒が切れると、翌日消えていたとの事。だが部屋には鍵が掛かったままだったという。
恐らく"肩身が狭くなった”彼は野良達と同じ大きさになったのだ。そして新しい居場所を探す為、共に旅に出たのだろう、あそこから…。
僕は、気取った足取りで歩く彼と野良達を想像して笑った。
そして奥さんに気づかれないよう家具を少しずらし、鼠穴を塞いだ。
ファンタジー
公開:20/03/07 22:53
更新:20/03/08 00:09

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