ドアの向こう

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ピンポーン。
インターホンのチャイムが鳴った。
「なんだよ」
寝ていた俺はイラつきながら立ち上がり、ゆっくりと玄関へと向かった。
とその時、玄関のドアの向こうが騒がしいのに気づいた。
歓声。
数百、数千の単位の人間が騒いでいる。
俺は一気にドアを開けた。
ドアの向こうには芝生のグラウンド。
男たちが一心不乱に走り回っていた。
サッカーの試合?
視線を少し上げると大勢の観客。
プロの試合か?
すると突然、ドリブルする一人の選手がドアから入ってきた。
止める暇などなく、他の選手たちも入ってくる。
彼らは部屋の中でボールを奪い合った。
部屋の家具をなぎ倒しながら。
唖然としていたのも束の間。
俺は本能的に玄関のドアを閉めた。
と同時に謎のサッカー選手たちは煙のように消え、後には静寂が残った。
「夢だったのか……?」
目の前には散乱した本や食器。
そしてサッカーボールが置かれている。
その他
公開:20/03/06 07:30

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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