家族、温めますか

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残業を終え、コンビニに立ち寄る。
「お弁当、温めますか」
「お願いします」
「家族は、温めますか?」
「…は?」
家族?ふざけた店員と思い無視しかけたが、我が家の冷え切ったリビングと、最近の妻子の態度を思うと、たまらず答えた。
「お願いします」

温まるものか。
ふてくされ帰宅すると、いつもは消えている家の明かりが、今日は灯っていた。
「おかえり」
妻が出迎え、娘はリビングにいた。何年ぶりだろう。
「こんなに帰りが遅いなんて、知らなかった」 娘が笑った。

「早く帰ってこられるよう、頑張るよ」
長く、言えなかった言葉が溢れた。

なるほど、温まっている。

次の夜、俺は同じコンビニへ向かった。今日はプリンを3つ。
「お願いします。それから、家族の温めも」
店員は微笑んだ。
「すでに温まっています」
俺はきょとんとした後、すぐに明かりの灯る我が家へ向かって駆け出した。
公開:20/03/05 21:11

あおい( 北海道 )

結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。

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