65%の社宅

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入院した父を見舞った帰り道、母が運転して連れて行ってくれた社宅アパート。僕が幼少の7年を過ごした場所。ここへ来るのは小学1年の夏休み以来だろうか。

4階建てが2棟あり、間には道路と物置と駐車場。聳え建っていた記憶ばかりが残る灰色のアパートは、ベージュに塗り替えられて記憶よりも低く小さい。
まわりの道は、やっと車一台分の幅。こんなにも狭かった?補助輪を外して貰ったばかりの自転車で、ぐるぐると全速力で走り回った道路。果てしなく感じた長い長い回廊。

何もかもが65%に縮小されたワンダーランド、記憶と生き写しのミニチュアの世界だ。
外で遊んだり悪戯したりしたときの記憶が、まるでひとつひとつの景色の中に貼り付いているかのよう。

ひょっとすると何処かの軒下か縁の下の隙間に、まだそのときの僕が隠れているのかも知れない。あの当時のまま、人見知りで怖がりで、母にくっ付いてばかりだった僕が、今もそこに…
その他
公開:20/03/05 20:10
更新:20/03/07 08:03
ある幼き日に

白ねこのため息( あちらこちらにいます )

2019年9月14日から参加いたしました。
しみじみとした後味や不思議な余韻が残る作品を目指しています。
どうぞ宜しく…。
ちなみに、写真は一部を除き、全て自分で撮影したものです。併せてお楽しみ下さい。

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現在、資格取得(英検1級など)の勉強中のため、投稿ペースが落ちていますが、
これからも引き続きご愛顧のほど、何とぞ宜しくお願いいたします。ペコリ。
 

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