変わった入社試験

中途採用試験。最終面接を通過した僕に渡されたのは何かの植物の種だった。
「その種を１カ月間育てて下さい」
意味が分からない。でも、言われた通り種を育て始めた。
１週目、まずは前職との違いを把握する為に現社員の皆さんの話を聞く。その上で僕に出来る仕事をこなしていく。経験者とはいえ新入社員。聞き込みは大切だ。
芽が出た。
２週目、上司からやり方が違うと叱責を受ける。でも、この方が効率も良く後々問題も起こり辛いんです。僕の意見をしっかり伝えた。
葉が出た。
３週目、僕のやり方を理解してもらった上で会社のやり方もしっかり理解していく。お互いの理解を深めていく。
花が咲いた。
４週目、人事担当者に呼び出され「合格だ」と告げられた。
「この種はホウレンソウという会話の種。最近ではそれすらも出来ず、すぐに辞めてしまう者も多い。だから、この植物を育てる事の出来る人材か見極める必要があった。理解したかね？」