影の呟き
8
9
親友とお別れするその日、僕は校庭の隅にある円形の日時計の中心に座っていた。夕日に照らされた僕の影は真っ直ぐ5時を指していた。校庭には僕とソラしか居らず、カチカチと日時計の音だけが響いた。
「帰ろうぜ」
ソラが言った。
僕らは校門を出た。ソラと僕は帰り道が逆なのでここでお別れだ。お別れの言葉を言えずにいると、ソラはいつもと変わらない笑顔で「またな!」と言って走り去っていった。
ぼんやり立ちすくんでいると、足元に影がないことに気づいた。校庭を見ると日時計で僕の影が僕を見つめていた。
「かち、かち」
僕は無意識に呟いた。
……カチ、カチ
「かち、かち」
夕日が沈んだ。影とカチカチいい続けているうちに、僕は夜に溶けた。僕は空に浮かび、満月を撫でていると、ソラの家が見えた。くんくん。今日はカレーらしい。僕はさっき言えなかった言葉は町中の夜に響かせた。
「またね!」
「帰ろうぜ」
ソラが言った。
僕らは校門を出た。ソラと僕は帰り道が逆なのでここでお別れだ。お別れの言葉を言えずにいると、ソラはいつもと変わらない笑顔で「またな!」と言って走り去っていった。
ぼんやり立ちすくんでいると、足元に影がないことに気づいた。校庭を見ると日時計で僕の影が僕を見つめていた。
「かち、かち」
僕は無意識に呟いた。
……カチ、カチ
「かち、かち」
夕日が沈んだ。影とカチカチいい続けているうちに、僕は夜に溶けた。僕は空に浮かび、満月を撫でていると、ソラの家が見えた。くんくん。今日はカレーらしい。僕はさっき言えなかった言葉は町中の夜に響かせた。
「またね!」
青春
公開:20/03/03 23:57
更新:20/03/04 23:12
更新:20/03/04 23:12
月の文学館
時計のつぶやき
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
ログインするとコメントを投稿できます