ミニチュア屏風コレクター

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ウェブマガジンの取材で訪れたその老人は、ミニチュア屏風のコレクターだった。個人の所有にもかかわらず、その点数の多さが話題となっていたのだ。
「お邪魔します。おおっ」
コレクション室となっている洋間に置かれた机の上に、10センチほどの高さの屏風がいくつも並んでいた。近づいてよく見ると、聞いたことのある名前のものから知らないものまで、キラキラと豪華なものから淡く質素なものまで、それはもう多種多様な屏風があった。
これは、何だろう。風神雷神図屏風かと思いきや、違うようだ。風神も雷神も、じっと口を噤み、眉間には皺が寄っている。足元の雲は厚く、何やら武器らしきものまで隠れている。
名札には、『風神雷神用心図屏風』。
「あら、お目が高い」
「ちなみにこちら、どなたの作品で?」
ふふふ、と低い笑いがこぼされた。
「それは内緒ですが、一点ものなんですよ」
点数の多さの理由を察した。
その他
公開:20/03/03 21:30

彩見 唯

日本語、特に言葉遊びが好きです。
twitterでは「りーまーむ (@Cogito_live)」というアカウントで短歌を詠んでいます!

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