クロワッサンを踏む

うちの玄関には、クロワッサンが置いてある。
もう二十年近く、私の足を支えてくれている。母がサイズを間違えたと寄越した物で、六千円程したらしい。一パン的にはやや高めだが、シンプルで飽きの来ない風合い。試した瞬間、私はその感食に惚れた。
さらりとした生地の、それでいて吸い付く様な心地良さ。通気性が高く、雨の日もすぐ乾くのが嬉しい。履いて歩けば、緩やかな湾曲面が土踏まずにフィットする。重ねたクッション層は適度な弾力を備え、足指から踵への体重移動もスムーズだ。
長時間の歩行も苦にならないのは、全体の軽さと伸縮性ゆえ。量販品の皮物より当たりが優しく、かつ耐久性が抜群。購入して一度も、切れたり欠けたり、剥がれたりした事がない。さすがに多少くたびれ、生地も擦れてきたが、今後も可能な限り履き続けたい。

ちなみに、クロワッサンはサンダルのメーカー名だ。なお一発変換の為、文中に誤字があってもご了承願いたい。