夢見古書店閉店間際

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本日閉店しますが読み終わっていない物語があります。
店の前でキョロキョロと忙しい眼鏡娘がおりました。僕はその姿を見守ることしかできません。
全身黒い服に身を包んだピンク髪の娘がやってきました。彼女は十円カートに目を輝かせています。眼鏡娘の顔はみるみる赤くなっていきます。
「あの…うち今日で閉店するんです」
「ああそうなの」
「この本いつも立ち読みされていましたよね?良ければ差し上げます」
「いや買うよ。十円だし」
お買い上げありがとうございます。
「あの」
「あのさ」
「あっごめんなさい」
「あ、ごめん」
「何ですか?」
「何?」
「ああ、また」
「被りすぎだね」
「あのお先にどうぞ」
「名前何て言うのあんた」
「夢見です」
「店の名前、名字だったんだ」
僕はビニール袋の中で揺らされています。僕に挟まれた栞には十一桁の数字が書かれています。君らは知らぬようですが僕達だって読むのが好きです。
青春
公開:19/12/13 22:51

菫永 園(すみなが えん)

書いたり喋ったりする金髪ギャルのひとです。時空モノガタリ出身。

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