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どこまで歩いたか、分からなくなった。
長いながい道を、ぼくと同じくらいの石が、ずうっと先から、ずうっと先へ続いて、ぼくはどっちかから歩いてきて、どっちかへ歩いていくところだ。
どっちから来たんだろう。……右?左?これって左右なのかな。上下なのかな。それとも
何にも思い出せないや。
どうして歩かなきゃならないのかな。
片方へ歩いて、引き返して逆へ歩いて、しばらくくり返して、つかれちゃった。
べそかいてしゃがんだぼくの耳の奥で、だれかが歌ってる。
一つ、つみして、父がため。
二つ、つみして、母がため。
ああそうか。つみ重ねてたんだ。
生きてた時つめなかった、生きてればつめたはずの、いっぱいの時間。いっぱいの思い出。なくしてしまった笑顔。
これはぼくのツミだったんだ。
お父さん。
お母さん。
――ごめんなさい。
三つ、つみして、君がため。
歌といっしょに、光がロープみたいにおりてきた。
長いながい道を、ぼくと同じくらいの石が、ずうっと先から、ずうっと先へ続いて、ぼくはどっちかから歩いてきて、どっちかへ歩いていくところだ。
どっちから来たんだろう。……右?左?これって左右なのかな。上下なのかな。それとも
何にも思い出せないや。
どうして歩かなきゃならないのかな。
片方へ歩いて、引き返して逆へ歩いて、しばらくくり返して、つかれちゃった。
べそかいてしゃがんだぼくの耳の奥で、だれかが歌ってる。
一つ、つみして、父がため。
二つ、つみして、母がため。
ああそうか。つみ重ねてたんだ。
生きてた時つめなかった、生きてればつめたはずの、いっぱいの時間。いっぱいの思い出。なくしてしまった笑顔。
これはぼくのツミだったんだ。
お父さん。
お母さん。
――ごめんなさい。
三つ、つみして、君がため。
歌といっしょに、光がロープみたいにおりてきた。
その他
公開:19/12/13 11:34
節目
賽の河原の石積み
※文中の石積み歌はアレンジです
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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