スポットライト

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どこまで歩いたか、分からなくなった。
長いながい道を、ぼくと同じくらいの石が、ずうっと先から、ずうっと先へ続いて、ぼくはどっちかから歩いてきて、どっちかへ歩いていくところだ。
どっちから来たんだろう。……右?左?これって左右なのかな。上下なのかな。それとも

何にも思い出せないや。

どうして歩かなきゃならないのかな。
片方へ歩いて、引き返して逆へ歩いて、しばらくくり返して、つかれちゃった。
べそかいてしゃがんだぼくの耳の奥で、だれかが歌ってる。

一つ、つみして、父がため。
二つ、つみして、母がため。

ああそうか。つみ重ねてたんだ。
生きてた時つめなかった、生きてればつめたはずの、いっぱいの時間。いっぱいの思い出。なくしてしまった笑顔。
これはぼくのツミだったんだ。
お父さん。
お母さん。
――ごめんなさい。

三つ、つみして、君がため。
歌といっしょに、光がロープみたいにおりてきた。
その他
公開:19/12/13 11:34
節目 賽の河原の石積み ※文中の石積み歌はアレンジです

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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