愛にキス

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「ねえ、キスしよ」

「あなたとは永遠に出来ない関係なの」

 最後の牙城が崩せない。

「雲行きが怪しそうだね。どう思う?」話題を変える。

「雨が降る確率は低いと思うよ」

「愛はいつも良く知ってるね」



外出をした。途中でお昼を食べることにした。
明るい陽射しが、僕らを優しく包む。


「愛は食べないの?」

「私はあんまりお腹が減らない体質だから。美味しい?」

「うん。それより天気よくなってきたね」

「ね、私の言ったとおりだったでしょ?」

「……今日こそキスしてもいい?」

「だめよ」「どうして! 愛はキスをしたいとは思わないの?」

「あなたとは特別な関係だけど、キスはできない」

「どうして!」

 彼女の頬に触れたがとても冷たかった。



『電池切れのようです。充電してください』

 その時、液晶盤から電子音が鳴り響いた。



……なんだ、「愛」は電池切れか。
ホラー
公開:19/12/14 22:20
更新:19/12/15 15:34

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