そんなにスマホが見たいなら

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「邪魔だ、このクソババア!」
駅構内に男の罵声が響いた。周りの客が一斉に振り返る。男は足元に倒れた老婆に構わず、さっさと歩き去った。
「おばあさん、大丈夫!?」
女子高生が助け起こし、転がっていた古い木の杖を老婆に渡した。
「あいつ自分がスマホ見ててぶつかったくせに!怪我はない?」
老婆は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうねえ。助かったよ。優しいねえ。ありがとうねえ」
女子高生は微笑み返すと小走りに去っていった。

振り返ると、男がスマホを見たまま階段を降りていくのが見えた。老婆は目を閉じて何事か呟き、三度杖を突いた。

階段を降りる男の速度が増した。周囲が振り返るなか、飛ぶようにホームへ降りて、そのまま突進する。凍りついたようにスマホから目を離さず、男は線路へ向かって更に足を早めた。
電車がホームに滑り込んでくる。
鋭い悲鳴が上がった。

男の足が宙に浮く。
目はスマホに釘付けのまま…。
ホラー
公開:19/12/12 22:44
更新:19/12/15 12:39
性懲りもなく ホラーに再挑戦

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnote・TALES・公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・第2回 日本おいしい小説大賞 最終候補(小学館)
・第31回やまなし文学賞 佳作『雨を知るもの』
・創作大賞2025 入選 『栗と牡丹』
・SSアンソロジー『ベリショーズ』寄稿
・ホラーアンソロジー『ウタ・カタ』寄稿

【刊行】
・第31回やまなし文学賞受賞作品集(山梨日日新聞社)
・栗は月色、こがね色 和菓子処長月堂(朝日文庫)
 

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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