つけっぱなしの幼稚園児

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「みっともないからやめなさい!」
「嫌だ!」
ことの始まりはこうだ。息子が幼稚園で大好きな女の子に言われたらしい。
「タケくんはまあまあ好みだけど、鼻が小さいところがヤダー」
それでシクシクと泣いて帰ったきた。その日の夜に洗濯バサミで鼻を挟んで寝て、朝になって鼻を赤くしていた息子が、旦那が会社の忘年会用に余興で購入した鼻眼鏡を見つけてつけ始めた。
「幼稚園にはやめて!」
「じゃあ、幼稚園行かない!」
仕方なく幼稚園の先生にわけを話す。
「そういうわけで鼻眼鏡外さないんですが」
「わかりました」
先生はプププと笑う。
それから数日息子の鼻眼鏡登園が続き、ある日を境に急に鼻眼鏡をしなくなった。
「あら鼻眼鏡は?」
「俺は明日からつけまつげする」
どうやらまた好きな女の子になんか言われたらしいぞ。
「つけまつげ買ってくれ。じゃないと幼稚園に行かない」
「は?」
息子の反抗期はまだ始まったばかり。
その他
公開:19/12/12 20:32
スクー つけっぱなしの反抗期

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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