晴れと雨と僕と彼女と

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ザーザーザー。
雨だ。さっきまで晴れだったのに空は急にどんよりとネズミ色。

初めて彼女に会った時、突然雨が降り出した。天気予報は降水確率0%で完璧晴れだったはずなのに!
僕は彼女に折りたたみ傘を貸して、それが僕らを繋ぐ縁になった。
数日後。偶然彼女と会った時、大雨に見舞われて今度は僕が君の折りたたみ傘を借りるはめになった。
「おかしいなぁ、俺晴れ男なのに」
「私もよ!ホントは晴れ女なのに」
僕らは顔を見合わせて笑う。折りたたみ傘は二人の間を行ったり来たり。それから僕らはお互いの家を行ったり来たり。
プロポーズの日も実家に挨拶に行った日も結婚式も、二人にとって大事な日には決まって晴れだったのに急に雨が降る。
「雨の神様に祝福されてるのかもね」
だから君が生まれる時は絶対雨が降るって思ってた。

「やっぱり雨」
「今日はお天気雨みたいだ」
彼女と僕は小さな君を挟んで、嬉し涙を降らせて笑った。
その他
公開:19/12/12 19:28
更新:19/12/31 23:13
節目

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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