足跡

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扉を開けると冷たい風が頬を叩いた。めいっぱい息を吸い込むと胸が冷たくなった。昨日と寒さは変わらないのに雪は夜のうちに止んでいた。
一歩目を踏み出すと足裏に伝わるざくっとした感触。楽しい。二歩目も踏み出す。ざくり。
気分が高揚して三歩、四歩と進むと走り出していた。誰もいない道をざくざくと進んでいく。真っ白な道はどこまでも続いているような気がして足は止まらない。冷たい空気を切り裂いていく。
「はぁ……はぁ……」
熱を持った息は白い。走って火照った体は寒さを感じない。
全力疾走を続けていると足が回らなくなって転んだ。雪のクッションは勢い付いた体を優しく受け止める。冷たくて気持ちいい。
仰向けになると雪を降らせた灰色がどこまでも広がっている。その色が白を生み出すのが不思議だった。
進んできた道には足跡。少し急ぎ過ぎたなと思った。私はゆっくりと歩き出す。目的地はもうすぐそこだ。
その他
公開:19/12/12 19:28

ダヴコ

深く考えずにふわーっとした空気感で書きたいです。ログアウトしてはパスワードを忘れる日々。

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