節目玉

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 節目と辞書で引くと、竹やらの節があるところ、転じて物事の区切りとなる大事なところ、と出た。
 当然節には目なんてついていない。竹林に立ち入るや否やそこかしこの目玉から睨まれれば、一目散に逃げ出すことだろう。
 だからこれは、想像だ。
 節目はぎょろりと僕を睨んだ。クローゼットの肥やしになりかけていた一張羅すら射抜くように。
 普段なら視界に入ろうが気にも留めない、タワービルの高層階で。毎日毎日食券機と顔を突き合わせる男には不釣り合いな、予約必須のディナーの席で。
「僕と結婚してください」
 差し出した指輪をきょとんと見つめる彼女と、降って湧いたイベントを興味深げに見守る群衆の目。
 固唾を呑んだ店内の時間を取り戻したのは、指輪に伸びた彼女の手だった。
 食器の擦れ合う微かな音と談笑がかえってくる。節目達は柔和に目元を緩ませ、僕らの門出を祝福している。そんな気がした。
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公開:19/12/12 19:04
更新:19/12/12 19:08
節目

ぴろしき

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上記アカウントにて駄文を垂れ流しているインターネットポエムおじさん。
こちらへは四百字にまとまるものを少しずつ載せていければと考えています。

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