ムウチャブリの日

今日はムウチャブリの日だ。
それは、骸骨型宇宙人ムウチャ族に伝わる古の儀式。
土で拵えた丸い闘技場の上に、ムウチャ族の雄と雌が対峙する。
｢ムウチャ!!」
長老の掛け声とともに儀式が始まる。
まずはムウチャ族の雄が、雌の骨を掴みにいく。それを巧みに躱し続け、時間まで逃げ切れば雌の勝ちだ。
しかし、今回の対戦は雄に分があり、雌は次々と骨を掴み取られては外されていった。
　ムウチャ！
　　ムウチャ！
　　　ブゥリブゥリ！
　ムウチャ！
　　ムウチャ！
　　　ブゥリブゥリ！
周りを取り囲むムウチャ族の若者たちは、太鼓の調子にあわせて合いの手を入れ始めた。
やがて雌の頭骨を残し、すべての骨が外された。
｢そこまでッ!!」

紅潮した雌の頭骨を、雄が誇らしげに掲げた。
｢ウハハハ、コレデモウ、俺ノモノダ！」
｢ハイ⋯⋯」
こうして今年もムウチャ族の結婚の儀は終わった。
まさに骨抜きにされたのだ──。