まだいる

来年の干支は猫ではない。大量の新年猫グッズを前に社員全員愕然とした。
「きっと座敷童子的なものが干支にまぎれていたのだろう。座敷童子は縁起の良いものだと聞いた事があるぞ。それに猫は干支ではないからこそスタンダード商品になれたのだよ。売れるに決まっている。作った物は無駄にならん」
そう言う社長の息は少し酒の匂いがしたような気がした。

全国的な供給過多により値崩れはしたが確かに売れるには売れた。もう当分猫は見たくない気分だが家に帰れば愛猫が待っている。忙しくてついつい餌を買うのを忘れていた。新しい寝床も買って帰らなくてはいけない。ペットショップではたくさんの人が猫関連の買い物をしていた。人が多いような気がしたがいつものペットショップの風景を思い出せなかった。