ある会社インの怖い話

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俺はインフルエンザに罹った事がない。
という理由で予防接種を断ったら、病院へ送迎された。今年は流行が長く、複数の型が猛威を振るう。忙しい年末、仕事に穴を開けるなという事だろう。

病院では窓口が設けられ、看護婦が問診を行っていた。
「次の方。血液型は?」
「O型です」
「インフルエンザの感染歴は?」
「接種歴じゃなく?」
「感染歴です。回数と時期、型式を」
「ありません」
窓口の奥がざわつく。予防接種にしては妙だ。
「では、抗体検査をします」
採血用の注射器が登場。副作用が騒がれた時代もあったが、そこまで徹底するのか。

「有効性が確認出来ました。抗体採取に移ります」
「採取!?俺はワクチン接種に来たんですが」
「ここは提供窓口です。稀少なO型の高免疫抗体、今年はワクチンが品薄なので助かります。お礼はいつも通り、〇△商事様の口座へ」
道理で経理が笑顔だった。俺は会社に売られた事を理解した。
その他
公開:19/12/13 00:18
人身(血液)売買 現在日本では禁止されています。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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