「ふどうさん」

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夜。引っ越し荷物の片付けを終え、ようやく腰を下ろした時にピンときた。
この部屋、いる。
俺は霊感が強い。この悪寒、間違いない。どこか懐かしくも嫌な感じ。
「どうりで安いわけだ。あの不動産屋め、ハメやがったな」
思い返せば、おっさんの首には数珠の装飾品が巻かれていた。
なにが「安心して下さい。訳あり物件じゃないですよ」だ。冴えない芸人みたいな顔しやがって。
しかし、この霊感の強い俺が簡単に騙されるとは。あの装飾品の力なのか。奴は何者だ?
それにしても、寒い。とにかく部屋を暖めるしかない。

「また不審死だって?」
「はい。ふどうさん、ですね。数珠の数も増えていました」
「動かぬ証拠がねぇんだよなぁ」
「また自殺で片付けられるでしょうね」
「今回も干からびて?」
「えぇ。ふどうさんが喚び寄せる霊は被害者の母に似た霊らしいですから、反抗したくなるのでしょう。あらゆる暖房器具が付けっぱなしで……」
ホラー
公開:19/12/12 23:56
付けっぱなしの反抗期 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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