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古物商が富豪の元へお宝を売りにやってきた。
「とても貴重なものを持参いたしました」
「ほほう。言い伝えでは聞いていたが。確かに珍しいものだね」
富豪は首を180度回転させて後頭部の髪をかき上げ第三の目でこの品物をマジマジと眺めた。
富豪がお宝に気を取られている間に、古物商は額からニョキッと目玉のついた触覚を出し部屋の中を見回した。
「おいおい。そんなに人の部屋の中を見るもんじゃないよ」
「へへえ。すみません。つい仕事柄」
「それにしても君の変異は便利だね。私のは後頭部だから、不便だよ。で、この紙のPayPayはいくらかね」
「これは先の人類の間では、紙幣と呼ばれていまして、値段がつけられないくらい歴史的価値の高いものでございます」
古物商は勿体をつけながら、値を引き上げる魂胆だった。
核兵器を用いた世界大戦の後、放射能に耐性のある変異したNeo人類が繁栄する世紀となっていた。
その他
公開:19/12/12 23:30
schoo 紙のPayPay

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