私をくるむもの

「秘密の花園には絶対に入ってはいけない」
それが大人達の口癖だ。大人は子供にそう言い聞かせ秘密の花園に入れてくれない。
子供達は噂する。秘密の花園ってどんなところだろう？
大人に聞いても誰も教えてくれない。だったら自分達で見に行こう！
好奇心旺盛な子供達は秘密の花園へと向かう。
そこで子供達は美しい少女に出会った。その姿は絵本に出てくるお姫様。
女の子は少女に駆け寄った。少女は女の子に手を伸ばす。女の子は大人へと変化した。
男の子も少女に駆け寄った。少女は男の子にも手を伸ばす。男の子も大人へと変化した。
大人になったことを喜ぶ元子供達。そんな元子供達を大人が迎えに来た。
「さあ、子供の時間は終わりだ。もう大人なんだから働いてもらうよ」
「この子は君達をくるんでいた若さを奪い取るんだ。もう元には戻れないよ」
大人になった子供達は自分達のような失敗をしないようにあの口癖を子供達に言い聞かせる。