追憶の公園

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 先月の公園は秋色に輝いていたのを私は追憶する。
 とかく太陽光を透かして見たときの葉は、一枚一枚が自ら発光しているかのような鮮やかさであった。おびただしい数の朱葉の天蓋は、春花の美しさに負けぬほどの雅さで、私たちの視界を覆っていた。
 香澄の泉の湧くような美しくやわらかい声、清潔なぬくもり、彼女の面影もそこにあった。
 命の摂理のなんと残酷なことだろうか。
 今、目の前をはらはらと枯れ葉が舞い落ちていく。すっかり茶色く萎れた枯れ葉。乾いたそれらを食む音に耐えられず、私は足元を踏み迷いながら同じ場所を歩いている。
 香澄は病と闘いながら最後の最後まで笑っていたな。
 失われていく生命力をあれほどに輝かせていた。信じられないほどに。
 墓参りをするはずだったのに、なぜ私はここをさ迷っているのか。
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公開:19/12/11 18:00
公園 紅葉

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最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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