事実は小説より

画期的な検索サイトができた。

特定の語句を入れて検索をするとその小説のタイトル・作者名からあらすじ、結末まで教えてくれるというサービスだ。

たとえば「祢杏」「手」「よしお」で検索すると、“最後によしおと祢杏ちゃんとは……ってしまった”なんてことも出てくる。どうもこの小説はイマイチだったな。

しかしこのサイトは便利なので読書感想文を課題に出された子どもたちが大挙して利用する光景が目に浮かぶ。

結末がわかるからと、これを悪用するものが出てきた。犯罪の手口を検索し、捕まらない結末のものだけを実行するという裏技だ。

まさに事実は小説より奇なりである。

その結果、このサイトの利用が問題視されるようになり閉鎖されてしまった。

「というわけで、今でも読書感想文を書くためには自分で読まなくてはいけないという教訓だ。わかったかい？」

と言いながら、キナリー先生が課題図書を配りはじめた。