四季桜と紅葉のそれ

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「あれは白だ」
「んにゃ違う、桃だ」
論争を繰り広げる巷のじいさんたちの視線の先にはまばゆいばかりに咲き誇るそれ。
その白か桃かの周りには、橙か赤か黄色の紅葉が包み込む。
「ありゃ橙だ」
「んにゃ赤だ」
「あれは黄色よぉ」
参戦したのはこの場所にどれほど来たかも数えきれないほど場数を踏んだご婦人。二人の押し問答にいても立ってもいられなくなったのだろう。
あれは桃で白で赤で橙で黄色でなんて、山に向かう先に流れる川沿いの柵を前にして大の大人が言い合うのだ。
そんな色当ても、この四季桜と紅葉の醍醐味だ。
山が、綺麗に色鮮やかに纏う。
すると婦人の手を握る小さな小さな幼女が、見ず知らずのおじいさんと我が祖母に疑問を投げかけた。
「どーしてさくらなの?」
幼女は言った。
「わたがしみたい!くもみたい!」
視線の先にある桃で白で赤で橙で黄色のそれは、人それぞれ含味の諸法が違うようだと皆は微笑んだ。
青春
公開:19/12/16 12:00
更新:19/12/11 00:55
四季桜 紅葉

誉野史( 愛知 )

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