踊り手、サッカー大会で活躍する

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 数少ない友達の中にタロウという変人がいる。立っている間、常に踊っているのだ。彼曰く、その時の心情を踊りで表現しているらしい。それを聞いた俺は愉快なやつだな、と思った。それは周りのヤツらも同じだった。
 だがそれも入学してしばらくの間だけだ。いつしかタロウの周りには俺だけになっていた。皆彼の事を気味悪げに見だしたのだ。タロウは酷く落ち込んでいた。……それでも踊りを止めなかったが。
 そんなある日、クラス対抗のサッカー大会が開かれた。このクラスには経験者がいない。優勝は絶望的だ。案の定、1試合目の前半から大差を付けられた。勝つのは不可能だと、誰もが思っただろう。
 その時ベンチだったタロウが出た。試合が始まり、彼がボールを拾う。すると彼は踊るように体全体を動かしてフェイントをかけ、次々と敵を抜いていく。そしてあっさりとゴールを決めた。その日タロウは大活躍し、俺たちを優勝に導いてくれた。
青春
公開:19/12/12 05:26

サァモンチップ

小説の構成の練習はショートショート小説でするのが良い、と聞いたのでチャレンジしてみることにしました。
もし何かおかしな所があれば遠慮なく突っ込んで下さい。
よろしくお願いします。

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