時代劇

時代劇のマンネリ化が叫ばれて久しかった。
金がかかるわりに視聴する層は限られていることなども難点だったが、そもそも毎回かならず同じようなエンディングで正義が勝つことがわかっているものなんていったい誰が毎週毎週観るというのか。

これは業界全体の問題であると役者も作家も制作会社も思っていた。だから業界全体で、一念発起しようということになったのだ。

まず助さんが死んだ。犯人は格さんだった。大岡忠相が賄賂を受け取り銭形平次が電子マネーを使った。座頭の市は眼科で目を治し、遠山金四郎は刺青を理由に入湯を拒否された。

それらが各局でいっせいに放送された夜、たくさんの老人たちが心臓発作のために病院に運ばれた。ショックが強すぎたらしい。
ちなみに私の祖母は大丈夫だった。将軍がぜんぜん暴れないことには不満げだったが。