拳銃を持つ死神
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私は私じゃない。そんな思いが頭の中をグルグルと駆け回る。何故なのかはわからないし、わかりたくもない。何かに迎合するために、人間の皮を被っただけなのだ。アイデンティティの有無、愛の有無。有りや無しやの世界で生きるのはもうこりごりだ。
だからだろう。
私の前に拳銃を持った男が立っている。悲しみ続けるのは生きた人間のする事じゃないよとあの人も歌ってた。男は「あばよ」と口を動かし、引き金を引いた。
そして、時が止まった。
確かに俺は異常に背の高い女を撃ったはずだ。しかし俺が引き金を引いた瞬間に女の体はグニャリとゴムのように揺れて崩れ落ちた。
「そこまでは高くないわ」
女からするりと抜け出した骸骨が俺の背後で笑っていた。直後に俺から拳銃を取り上げ、眼窩の奥の闇が食い入るように俺を睨んだ。そしてケタケタと歯を震わせ、俺の眉間に拳銃をあてた。
「無有」
乾いた音が響き、時は動き始めた。
だからだろう。
私の前に拳銃を持った男が立っている。悲しみ続けるのは生きた人間のする事じゃないよとあの人も歌ってた。男は「あばよ」と口を動かし、引き金を引いた。
そして、時が止まった。
確かに俺は異常に背の高い女を撃ったはずだ。しかし俺が引き金を引いた瞬間に女の体はグニャリとゴムのように揺れて崩れ落ちた。
「そこまでは高くないわ」
女からするりと抜け出した骸骨が俺の背後で笑っていた。直後に俺から拳銃を取り上げ、眼窩の奥の闇が食い入るように俺を睨んだ。そしてケタケタと歯を震わせ、俺の眉間に拳銃をあてた。
「無有」
乾いた音が響き、時は動き始めた。
SF
公開:19/12/11 20:35
節目
たらはかに
https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。
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