あとの祭り
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若く調子に乗っていた頃の話だ。
終電後のクラブ。フロアの片隅で、俺は欠伸をしていた。
「疲れてんの?」
一人の男が話しかけてきた。
「忙しくって」
俺は素っ気ない返事を返した。
「疲れ取れるの、あるよ」
男は顔を少し近づけて、囁くような声で言った。
噂には聞いていたが、ピンポイントで誘われたのは初めてだった。
俺はマジマジと男の顔を見た。
それに気づくと、男はベッと舌を出して見せた。ピアスのついた舌の上には白い錠剤が乗っている。それを噛み砕くと、ニヤリと笑った。
「幾ら?」
「一錠三千円」
「マジか」
俺は三千円と引き換えに小さなビニール袋に入った錠剤を受け取った。
男の真似をして噛み砕く。
確かに効く。
「そりゃあ、クエン酸とブドウ糖だからな」
男はそれだけ言うと、人混みに紛れて消えてしまった。
ただのラムネ一粒に三千円払ったと気づいたが、あとの祭りだった。
終電後のクラブ。フロアの片隅で、俺は欠伸をしていた。
「疲れてんの?」
一人の男が話しかけてきた。
「忙しくって」
俺は素っ気ない返事を返した。
「疲れ取れるの、あるよ」
男は顔を少し近づけて、囁くような声で言った。
噂には聞いていたが、ピンポイントで誘われたのは初めてだった。
俺はマジマジと男の顔を見た。
それに気づくと、男はベッと舌を出して見せた。ピアスのついた舌の上には白い錠剤が乗っている。それを噛み砕くと、ニヤリと笑った。
「幾ら?」
「一錠三千円」
「マジか」
俺は三千円と引き換えに小さなビニール袋に入った錠剤を受け取った。
男の真似をして噛み砕く。
確かに効く。
「そりゃあ、クエン酸とブドウ糖だからな」
男はそれだけ言うと、人混みに紛れて消えてしまった。
ただのラムネ一粒に三千円払ったと気づいたが、あとの祭りだった。
その他
公開:19/12/11 20:15
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tamanegitarou1539@gmail.com
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