夜焼け空

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 二人で見上げた空を思い出した。
 赤く染まった空だった。
 つい先ほどのことなのに、あれから永劫の時を過ごした気がする。
 寂しいのだろうか。恋しいのだろうか。
 そんな美しい感情でいられたらいいのにと、思う。
 痛い。苦しい。嫌だ。死にたくない。
 冷静に努めようとする傍らで、泣き喚く自分が存在感を増していく。
 陽はとうに沈んでいた。夕陽でもなく空は赤かった。戦火に照らされた空が、赤黒く光っていた。
 倒壊した建物に押し潰された君を見捨ててまで逃げてきたのに、私の足ももうずいぶんと燻されてしまった。灰が焼け焦げてでもいるのか、息を吸うたびに死にたくなるほどの激痛が走った。死にたくないのに、死にたくなるほどの。
「ぼくはもう、諦めてもいいのかな」
 声にならない声を絞り出す。
「ええ。あなたはがんばったもの」
 自らを慰撫する空想だと察していても、私の心に、その声がひどく優しく響いた。
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公開:19/12/09 19:10
お題 二人で見上げた空を思い出した その声がひどく優しく響いた

ぴろしき

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上記アカウントにて駄文を垂れ流しているインターネットポエム揚げパン。
にほんご、すき。

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