サザンカの道案内

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空から花が降ってくる。
仕事を終えて駅から家への帰り、暗い夜道に白いサザンカの花が落ちている。メイコが花を降らせたんだろう。
家に着いて門に手をかけると玄関先で影が動いた。猫か?猫ならいいけど大きい。
携帯の明かりをつけて、玄関を照らすそこにサザンカの花が積もっている。メイコがその動物を花で囲んでいる。メイコが歓迎してるなら、大丈夫だろうなと門を開けて玄関に近づくと、ランドセルを背負った女の子がそこにいた。
「ミイちゃん!どうしたの?」
そこにいたのは同級生の娘のミイちゃんだ。耳鼻科の帰りにお母さんとケンカして、花を追いかけて歩いているうちにこの家まで来たらしい。
「よくうちがわかったねぇ。体が冷えたでしょ?さ、入ってあったまろ」
ミイちゃんに対して、一気におばさんな対応をはじめる自分に驚きつつ、かごから小鳥が逃げてしまわないように細心の注意を払って玄関の扉の内側に女の子をしまった。
ファンタジー
公開:19/12/09 10:52

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