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こんな夢を見た。
夜の堤を歩いていると、冬の川が眩しい。中州にぶつかる流れが飛沫を上げていて、それが月に反射しているのだ。だから、川原に置き捨ててあるパワーショベルで、中洲の先端を細工すれば大丈夫だろう。僕はカタピラに指を突っ込んで鍵を探し始めたが、やはり反射が気になって指を三本まで見失ってしまった。僕は腹を立てて、土足で川に踏み込んだ。すると、川には枯芒の穂が滔々と流れているのであった。踝まで浸ると、枯芒の穂の下には水があって、恐ろしい速さで流れていることが分かった。
「水面と枯芒の穂との間にはどうやら隙間があいているようだ」
僕は息を吸い込んで、その隙間を目掛けて飛び込んだ。そこでは十三夜の月が、彼岸と此岸とをひじょうな速度で往復していて、それが上流から下流までを、際限なく連鎖していた。足元には枯芒の穂があり、天空には僕がこれから渡らなければならない橋の欄干がひっくり返っていた。
夜の堤を歩いていると、冬の川が眩しい。中州にぶつかる流れが飛沫を上げていて、それが月に反射しているのだ。だから、川原に置き捨ててあるパワーショベルで、中洲の先端を細工すれば大丈夫だろう。僕はカタピラに指を突っ込んで鍵を探し始めたが、やはり反射が気になって指を三本まで見失ってしまった。僕は腹を立てて、土足で川に踏み込んだ。すると、川には枯芒の穂が滔々と流れているのであった。踝まで浸ると、枯芒の穂の下には水があって、恐ろしい速さで流れていることが分かった。
「水面と枯芒の穂との間にはどうやら隙間があいているようだ」
僕は息を吸い込んで、その隙間を目掛けて飛び込んだ。そこでは十三夜の月が、彼岸と此岸とをひじょうな速度で往復していて、それが上流から下流までを、際限なく連鎖していた。足元には枯芒の穂があり、天空には僕がこれから渡らなければならない橋の欄干がひっくり返っていた。
その他
公開:19/12/10 19:30
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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