私をくるむもの

人は見た目じゃなくて中身だ、何て言うけどありゃ嘘だ。それを理解した。
恵ちゃんは私を愛してくれた。私も恵ちゃんを愛した。
だが恵ちゃんは私がぺったんこになった途端、ママに言いつけた。
ママは私を引っぺがし外へと放り出した。
畜生！結局、私じゃなくてぬいぐるみの外見が好きだったんじゃないか！中綿である私なんてどうでもよかったんだ！
今、ぬいぐるみには新しい中綿が詰め込められ、恵ちゃんは喜んでいる。ふかふかだな。
はぁ…ぺったんこの私はもうお払い箱か…そう思っていたら、ママが私を何かに詰め込み始めた。
何だ？ここは以前のぬいぐるみからするとかなり窮屈だな？
布の目から外を見てみると犬のジョンが私に寄ってきた。ジョンは私を咥えると嬉しそうに歩き回る。
私は理解した。
ありがとうママ。私を新しいぬいぐるみにしてくれて。
ありがとうジョン。お前は前から私を愛してくれたな。これからは私もお前を愛すぞ。